TINHiFi T1S カナル型でありながらイントラコンカライクに聴ける 控え目ベリリウムコーティング低価格1DD

先日アリエクで新製品のイヤホン、TINHiFi T1Sを購入した感想をば。購入価格はセラークーポン利用で2800円→2200円程。

免責 低価格メインの安耳の所感です。専門的な他レビュワーさんの記事も合わせてご判断ください。また、音の感じ方は人によりかなり大きく違いが出る曖昧なものです。ぜひご自身の耳を1番に信じて楽しい音楽ライフをお過ごしください。


ベリリウムコーティング1DD。

小さく薄く軽いので装着感が非常に楽。

見た目が簡素で色選びに迷ったが、白を購入。プラスチック感全開でチャチに感じるかと思っていたら、実際手に取ると小さな麻雀牌のような感覚で悪くない。逆にこのシンプルさが良い。

イヤーピースも柔らかめで楽。

弱めではあるがベリリウムの特徴が出ていて、音にキレと艶が感じられる。広さと艶でボーカル物はとても良く聴ける。

音場は広く感じる。この価格帯ではなかなかの特徴。

音は低音寄りのウォームながら各帯域きちんと出ていて、イヤピやケーブルの変更によく反応するので調整しやすい。ただしこのイヤホンを活かすには低音域に注意点がある。


低音域

低音のピークはサブベースとベースの中間にあり、強さもある。

しかしこのイヤホンは量が多いと溢れてしまうようで、このピークの量が多い曲を再生すると周囲の帯域も巻き込んでボワってしまう。許容量があまりにも小さく、低音の圧ガン押しとかブーミーに聴きたいとかは難しい。あくまで綺麗に聴きたい方向け。

もしよく聴く曲で発生してしまう場合、対処としてはケーブル・イヤピ・イコライザ等で、該当帯域を溢れないようにシンプルに多少下げてあげるのがおすすめ。

多少下げたとしてももともと強いのに加えベリリウムコーティングの恩恵で音自体にキレがあり、低音をしっかりと感じることができる。下げた物足りなさはほぼ感じない。一部の該当曲以外では強くキレのある低音で気持ち良い。

この点がこのイヤホンの扱いにくい部分になるために、運悪く問題が出てしまった場合は自身で適切に調整できる方向けという懸念はある。買ったまま挿したままという方には曲を選ぶ場面が出てきてしまうかもしれない。

【追記:200時間程度】

使っていくとともに、少し改善してきた感じあり。下げた分を戻してフラットにしても、コップの淵でなんとか耐えているぐらいにはなった。ただ許容量が小さいというのはそのままで、相性が悪い曲や低音の該当帯域を上げるような使い方をした場合は問題が出てきてしまう点は変わらないと思う。金属メッキDDで時間や温度や湿度で変わる可能性があり、気に入っているのでまだまだ使い込んで様子をみたいところ。

【追記:400時間程度】

300時間中ほどあたりから低中音がさらに1枚晴れたような感覚があり、慣らしが終わって理想の音が鳴っているのかなと思えてきた。初期段階では抜けも悪くボワっていたので、正しく評価できるまでに長時間かかるのは、他のベリリウム系によくみられる傾向と同様だろうか。
量的な許容量が小さいのは変化はなく、今も量の多いケーブルに変えると分離が悪くモヤっとするので、後述のケーブル等セッティングに対する感覚は初期の通り変わらず。T1Sで量を増やすと雄大になりそれはそれでいい面も出るがやはりデメリットの方が目立つ。いい意味での軽さを取った方が合っていると個人的には思う。

中音域

ドンシャリでは無くさらに広いので中音域が埋もれることもなく、ベリリウムコーティングで艶のあるボーカルを聴くことができる。


高音域

ウォーム寄りで高音控え目ではあるが、よく聴くとベリリウムのおかげで音が綺麗にキレよく響き、気持ちよい高音。中高音の刺さりもない。控え目なのがもったいないくらいで、セッティングでここを持ち上げる方向性で試行錯誤するのはありと思う。


イヤーピース

4サイズが付属。開口部が大きい。柔らかいがぷくっとしていて装着感は良い。T1S用にチューニングされたこの付属イヤーピースもベストの選択のひとつだと思う。低音域の問題を出さないためにも、完全に密着するよりは1サイズ小さめがいい。変更する場合も適切な分量抜けてくれて高音を活かせるタイプのイヤーピースが相性がよさそう。


ケーブル

前述の点で主に低音の量が増えると曲によっては問題が出るので、リケーブルする場合は量が増えるものは避ける方がいいと感じた。こだわりがなければ付属のケーブルのままがベスト。変えるならば量を増やさずに好みに変更できるものが合いそう。手持ちの8芯16芯を試したところ、やはり低音ピーク部分の量が多い曲の一部で欠点が出る場面があり、結局付属ケーブルのままが最良だった。

自分はこの価格なんで付属で満足しているが、もし今後リケーブルしてみるならば、綺麗なのに控え目なのがもったいない高音を活かせる、4芯あたりのそのような材質のものを探したいところ。


総評

流行りの派手傾向ではないという意味では万人向けではないものの、特徴を持った優しく綺麗なイヤホン。

ウォーム寄りで全域綺麗で広い。圧よりも適切に抜くほうがバランスも良いため、装着感の軽さもあってカナル型でありながらまるでイントラコンカライクな感覚で聴けるイヤホン。カナル型の圧や頭内定位が苦手な方が、ある程度遮音性が求められる場で使うにはもってこいの普段使いの一品。

また、2200円程でベリリウムコーティングを試せるのはお得。他と比較すればベリリウムの特徴は弱いが、低価格帯の他イヤホンと音ひとつひとつを比べれば一聴瞭然で、全域キレがあり艶のあるベリリウムの音自体の違いを感じることができる。このキレと艶が好みがどうかの判断材料にぜひ。

ベリリウム未体験の方がこのT1Sを手に取るにはいい価格。5000円~10000円あたりの上位のベリリウムコーティングイヤホンや、20000円以上のピュアベリリウムの足掛かりにするのもいいのでは。



今回はAliExpressのTINHIFI Official Storeで買いました!
セールや突発的なクーポンでさらにお安く買えるかも!


余談

ベリリウム目当ての方でイントラコンカをお求めの方は、T1Sと同価格帯の2千円台で買えるJcally EP09というイヤホンがおすすめ。解像感や広さは平均的だが、より強くベリリウムの特徴が出ておりとにかく艶がたまらない。かつイントラコンカの中では低音が強い。低価格帯イントラコンカでは最高クラスのひとつ。自分は外音が少ない場ではEP09をメインに、遮音性が求められる場ではカナル型のT1Sというような使い分けで楽しみ中。


(ポローリムジーク編集部:ポロリウム・コートニー)